現在、日本のみならず、海外からも高い評価を得ているフレグランスが、セントネーションズが展開する「レイヤードフレグランス」だ。
セントネーションズは、日本で初めてフレグランスメーカーとして立ち上げられたメーカーである。
そんなセントネーションズを立ち上げた、フレグランス業界の”異端児”石坂将氏のインタビューをお届けする。(全2回)
第1回の本記事では、セントネーションズの起業ストーリーから「レイヤードフレグランス」のこだわりについて語っていただく。
1982 年生まれ。学習院大学卒業後、英国Lancaster 大学 大学院にて修士課程を終了。
大学院卒業後に商社へ入社。
オリジナルブランドの開発チームに所属し、2010 年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。
2012 年1月にフレグランスメーカー・セントネーションズを立ち上げ以降、オリジナルブランド「レイヤードフレグランス」の企画・開発の他、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。
原点は兄からもらったお土産
― 石坂さんは、英国で修士課程を修了後、日本に帰国し、フレグランス関連の仕事につかれています。当時からフレグランスに大きな興味を持たれていたのですか。
フレグランス自体は小さいころから好きでした。
ただ、就職先としては、ぼんやりと華やかなところが良いなと思っている程度で、将来的なキャリアとして、フレグランス業界に身を置くことについては、具体的にイメージしていませんでした。
一方で、漠然と将来的に起業したいという想いがあり、自分が心の底から好きで、成功がイメージできるフレグランス業界に進もうと考えました。
― そこまで好きと言い切れるフレグランスですが、好きになるきっかけなどはあったのでしょうか。
小さいころ、親が仕事で忙しく家にいることが少なかったため、7歳上の兄が親代わりでした。
そんな大好きだった兄が、私が幼稚園の時に、イギリスの全寮制の中学校に留学してしまったのですが、その兄からの最初のお土産が香水だったんです。
夏休みが終わり、兄がイギリスに戻った後は、その香りがお守り代わりのようなものでした。
そこから、私の人生において、フレグランスは切っても切り離せないものになりました。
「セントネーションズ」誕生をフレグランス業界の一つのターニングポイントに
― 2012年に4年間従事されたフレグランスメーカーから独立され、日本で初めてフレグランスメーカーとして起業しています。それはどのような想いからだったのでしょうか。
セントネーションズを起業する前、私はフレグランスを取り扱う商社で働いていました。
その時に感じていたのが、フレグランス業界で働くことの「劣等感」です。
そもそも、フレグランス業界は認知度が低いし、フレグランス業界と言えばこの人、みたいな人もいない。
華やかな仕事がしたいと思って就職したのに、なんだか「端っこの産業」にいるような劣等感を感じていました。
そんな業界の劣等感を、自分の力で何とか克服したい、私はそんな想いで起業を決意しました。
具体的には、「フレグランスに強い想いを持った人による、フレグランスメーカー主体の業界を作る」ことが、その「劣等感」を克服する、言い換えるとフレグランス業界を盛り上げていくにあたって重要だと考えています。
セントネーションズを立ち上げるまで、日本にはフレグランス専門メーカーというのは存在していませんでした。
キープレーヤーとして世間から認知されているのは、ビジネス目的で参入してきた、他の業界の人たちだったわけです。
彼らは儲かりそうだからという理由でフレグランスを取り扱っており、決してフレグランスに情熱があるわけではないんですよね。
そもそも香水をつけない人が、社内の異動でフレグランス関連の仕事をしているなんてことも多くあります。
だから何か新しい価値を提案するなんて毛頭なくて、基本的には値下げ競争か他人のアイディアの真似事しか頭にないわけです。
― フレグランスメーカー主体の業界を作ることができれば、もっとフレグランス業界を盛り上げられるということでしょうか。
既存のキープレーヤーたちは、お金儲けのために参入しているため、フレグランス業界を盛り上げようとすることに協力しようという姿勢がありません。
一方で、他業界に目を向けてみると、音楽業界やファッション業界では、メーカー横断で様々なイベントが開催され、業界を盛り上げる取り組みが実施されています。
他業界のように、フレグランスに強い想いを持ったメーカー同士で、しっかり連携していければ、業界を盛り上げることができると思います。
そのために必要なのは、フレグランスに夢を見る情熱だと思います。
グローバルで見ると、フレグランスは巨大産業なので、メーカー主体で業界を盛り上げることができれば、国の経済にも大きく貢献できる話になります。
将来、フレグランス業界を振り返った時に、「セントネーションズ」誕生が、この業界がメーカー主体の産業になったんだという一つのターニングポイントにしていきたいなと考えています。
「好き」だからこそ良い製品を作ることができる
― 他業界からビジネスとして参入してきたプレーヤーが展開するフレグランスと、レイヤードフレグランスの違いはどのようなものになるでしょうか。
他業界からビジネスとして参入してきた人達は、先ほど申し上げたように、必ずしも全員がフレグランスが好きな人たちではありません。
そのため、個人の「こだわり」がなく、「多数決」によって作られたフレグランスになっています。
例えば某メーカーのフレグランスなどは、どれも同じような学生のような香りで、フレグランス業界に長年身を置いている私からすると、非常に違和感があります。(笑)
一方、レイヤードフレグランスは、私の「こだわり」を全面に反映し、自分が心から良いと思ったフレグランスになっています。
フレグランスが好きなわけではない複数人の意見の平均を取り、なんとかフレグランスとして成り立っている製品と、特定の個人の「こだわり」を反映したフレグランスとでは、どちらが良いか明白だと思います。
結局は、私自身が、フレグランスのことが心から「好き」で、長年使ってきているというのが大きな違いになっていると思いますし、これこそが世界で私が闘っていくときのよりどころです。
レイヤードフレグランスを使って「モテる」を実現してほしい
― そんな「こだわり」を込めたレイヤードフレグランスを通して、消費者にどんなことを実現してほしいですか。
端的に言うと、異性同性問わず「モテる」を実現してほしいです。
「人生、モテてなんぼ」だと思いませんか?(笑)
恋愛も、仕事も、友人関係も、「モテる」すなわち「人から好かれる」ことが成功の秘訣なので、人生において「モテる」ということは非常に重要だと思います。
フレグランスを使うことで、まずは魅力的な香りを周囲の人に感じさせることできます。
次に、自分が良い香りであるという確信を持つと、自信のある立ち振る舞いにつながり、それが「モテる」に繋がっていきます。
レイヤードフレグランスは、そのような「モテる」を実現してもらうために、取り入れやすい価格帯で、幅広いラインアップも揃えています。
― 他業界からビジネスとして参入してきたプレーヤーが展開するフレグランスでは、「モテる」の実現は難しいのでしょうか。
平均を取ったフレグランスは、どうしても全部同じような香りになってしまいます。
一方で、何も付けないよりは、そういったプレーヤーが展開するフレグランスでも、付けた方が良いと思っています。
私は、人間が良い香りである状態を保とうとすることは、理性的に生きている証拠だと思っています。
理性的であることは、あらゆる動物の中で、人間だけが持っている特性です。
動物は食べたいだけ食べて、寝たいだけ寝ますし、放って置くと、野獣的な香りがします。
人間だけが、そうした欲をコントロールし、清潔でフレッシュな香りを保とうとします。
つまり、良い香りであろうとすることは、人間的に全うな価値観を持っているということです。
なので、汗をかいて一時的に臭くなってしまうのはまだしも、ずっと臭いままでいる人は人間的な価値観からズレてしまっていますし、そんな人が「モテる」はずないと思うんです。(笑)
その意味では、どんなフレグランスであれ、「モテる」ためには付けた方が良いと思います。
ですが、その中でも、必ずしも全員がフレグランスが好きなわけではない人たちによる「多数決」で作られた製品ではなく、レイヤードフレグランスを選んでほしいです。
先ほども申し上げたように、レイヤードフレグランスは、取り入れやすい価格帯で、幅広いラインアップも揃えています。
ぜひ自分の気に入った香りを手に取って、良い香りを身にまとってください。
「モテる」人が少しでも増えることを願っています。
(第2回に続く)