本記事では、サウナ好きの読者の皆さんに、「熱波師」のリアルや「熱波を受ける際の注意点」を、日本初のプロ熱波師である大森熱狼さんのインタビューを交えてご紹介する。
皆さん、熱波師とは何かご存知だろうか。
サウナブームでサウナに入り始めた初心者サウナーの読者の中には、まだサウナで熱波師に遭遇したことがない方もいるのではないだろうか。
ロウリュ・熱波師とは?
写真はイメージです
ロウリュとは、熱したサウナストーンに水をかけた際に発生する蒸気のことである。
フィンランドのサウナ風呂には欠かせないもので、体感温度を上げて発汗作用を促進する効果がある。
サウナストーンに掛ける水には、アロマオイルなどが加えられることもある。
熱波師として風を送る大森さん
また熱波師とは、ロウリュによって発生した水蒸気を室内の隅々まで充満させる人のことである。
通常、ロウリュによって発生した熱はサウナ室の上部に溜まっていくため、
熱波師がタオルなどを使って水蒸気を循環させ、室内にいる客に熱い風として送り届けるのだ。
灼熱のサウナの中で大きなタオルをブンブン振り回すことになるため、相当な体力が必要になる。
また、お客さんの安全管理も必要になるため、
日本サウナ熱波アウフグース協会が主催する熱波師検定を取得するのが一般的だ。
※アウフグース=ロウリュで発生した蒸気をタオルなどを使って扇ぐ行為のこと
読者の皆さんの中には「熱波を浴びてみたいがなかなか勇気が湧かない」という方もいらっしゃるのではないだろうか?
今回は日本初のプロ熱波師であり、熱波師検定の講師も務める大森熱狼さんに、
熱波師の現状やアウフグースを受ける際の注意、また独特のサウナ観などについてお話を伺ってみた。
大森熱狼さんインタビュー
大森熱狼さんプロフィール
1974年生まれ。ボディケアの仕事をしながら2012年よりサラリーマン熱波師として活動を開始。
2014年に独立し、日本初の「プロ熱波師」となる。
熱波師の技術を競う「熱波甲子園ソロ部門」にて、2連覇を達成(2017年・2018年)。
全国のサウナに出向いては熱い風を送りつつ、熱波師検定の講師も務める。
ちなみにオフの日もサウナに出向くため、ほぼ365日サウナに出没している。
聞き手 HANDSUM+編集部 たき
HANDSUM+編集部 たきのプロフィール
- 出身:東京
- 年齢:31歳
- 趣味:サウナ、ゴルフ、日向坂46の推し活
熱波師になったきっかけ
大森さんのファーストキャリアは意外にも・・?
そもそも熱波師になられたきっかけを教えてください。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
最初は風呂屋さんの中にあるリラクゼーションをやっている会社で、ボディケアをするサラリーマンとして働いてました。2012年ぐらいからお風呂屋さんの方でロウリュをやり始めて、そこで扇ぎ始めたのが最初ですね。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
そうなんです。最初はサラリーマン熱波師って感じで、スーツのまま扇いでました。そうすると一発で覚えてもらえるんで。(笑)
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
はい(笑)。ネクタイもジャケットも着たまま扇いで、そのまま帰ってました。汗だくで迷惑かかっちゃうので、電車は絶対座らないで帰ってました(笑)
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
2年ぐらいサラリーマン熱波師をやってて、あんまり深く何も考えないでその会社を辞めたんですよね、それが40歳ぐらいかな。そしたらサラリーマン時代にも行ってた施設さんから、辞めても扇ぎに来て欲しいっていう話を頂いて。それまではいち会社員として行ってたからお金とかもらってなかったんですけど、「もうサラリーマンじゃないからちゃんとお金払いますよ」って言ってもらえて。「あ、ロウリュってお金になるんだな」と思ったんですよね。
それすごいですね。今のサウナブームのだいぶ前ですよね。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
まだまだサウナブームじゃないですね。その時に飛び込みで営業に行っても、お風呂屋さんから「ロウリュってなんですか」って聞かれるような時代ですよ。最初は全然仕事が無くて大変でしたけど、なんとかここまでやってこれました。(笑)
熱波師としてのこだわり
大森さんが熱波師を続けるモチベーションはどこにあるんですか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
いろんな人がいろんな動機でやってると思うんですけど、僕はシンプルに「旨いビールを飲むため」です(笑)。多分日本中にいる熱波師の中で最も不純な動機だと思います(笑)。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
もはや口に出して「今日終わったら美味しいビール飲むために必死やりますけど、自分のためです」とか、平気で言いますからね(笑)お客さんにも「皆さんこのあと美味しいビール飲んでくださいね。頭にビールを思い浮かべながら汗をかくと最高にうまいんで」って言いながらやってますんで。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
確かにサウナ後の一杯は格別である・・
ところで、熱波甲子園を連覇するほどの大森さんの熱波には、どんな特徴があるんですか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
僕は本当にただ単に、実直に扇ぐだけなんですよね。風が使えなかったら何にもなんないぐらいで、一番体力も必要なスタイルです。笑
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
47歳です。だから年々その体力っていうのがきつくなってますね。サウナブームでお客様も増えているから、扇ぐ回数もものすごい増えているけど、運動量を調整できるスタイルじゃないから大変で。でも、終わりにビールが待ってるからやめられないですね。(笑)
大森さんのサウナ観
お風呂関係のお仕事に就かれる前からサウナは好きだったんですか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
正直、熱波師を始めたときはサウナに入ったことなかったし興味もなかったし、水風呂も入れなかったです。サウナは暑いし、水風呂は冷たいし(笑)
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
まあサウナに接しているうちに自然と好きにはなってきましたね。ただやっぱりその後のお酒の方が好きですけどね(笑)
そうすると、飲み屋に近いサウナがお好きなんですか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
本当は、施設で飲んで食ってってできるお店がいいですね。いわゆる完結型ってやつです。
完結型ですか(笑)よく行かれるところとかあるんでしょうか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
赤羽の
コスモプラザってとこにはよく行きます。飯がないから完結型ではないんですが、飲んで寝て起きてサウナ入って汗流してまた飲みにいけるっていう。館内着を着てゴロッとくつろいでいたいんですよね。あとは
レインボー新小岩とか、
楽天地スパも好きですね。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
やっぱりブームもあって混んでるサウナは苦手なんですよね。ブームはいいことでもあるけど、いつどこのサウナいっても混んでるなと。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
あれがわからないんですよね。だって自分のタイミングで入って、自分のタイミングでくつろぎたいじゃないですか。なんで並んでなきゃいけないんだと。いつも思うのが有名店が優良店ではないってことです。あそこすごいよって言われても、別かな。自分のペースでくつろぎたい。待たないで入れるサウナって意外といっぱいあるんですよね。
サウナブームへの警鐘
サウナブームについてのお考えを語る大森さんはまさに真剣そのものであった
サウナブームのお話も出ましたが、このブームについては?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
サウナーが増えたのはもちろん、ここ数ヶ月で特に変わってきたのが、実際に扇ぎたがっている熱波師が増えました。私が熱波師検定で教えている受講者の人たちも、実際に施設に行って扇いでいる人たちを見かけるようになったのは、今までにない感じですね。
扇がせてもらえる施設が増えてきたということでしょうか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
それもあるでしょうね。やってくれるならどうぞっていうお店がね。ただ資格をもっているだけで実際に扇げるかどうかはなかなか難しいところではあります。
無料でもいいから機会が欲しいみたいな方も増えて、大森さんはプロとしてお金もらっている中で、そういう人が増えていることはどう捉えていらっしゃいますか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
ある意味、脅威でもあります。講師として教えているので、自分で自分の首絞めてるようなもんですよね。でもその難しさよりも問題なのは、安心安全を訴える場所がないってことです。例えばショーアウフグースとか。自分でもよくいろんなお店に行っていろんなロウリュ受けるんですが、やっぱり安心安全が度外視されてるかなっていうのを感じることは多いです。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
そうなんです。だからこそ誰かが安全をうたっていかないといけないなと。ブームって事故が起きると、一気に終わるものなので、気を付けないといけないですね。
逆にサウナに入る側としては、どういうことに気をつけたらいいでしょうか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
サウナに入る目的を見失わないことですね。ある人が言っていたのが、ロウリュがお替りし放題のお店に行くとき、ロウリュが始まる10分前にシングルの水風呂(※)に10分入るんですって。そっからサウナに入るからサウナが温かいんだって。
※シングルの水風呂:水温が1ケタ台の水風呂のこと。相当冷たい。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
そう。体冷え切っちゃう。よく「サウナ=苦行、水風呂=天国」って言われるんだけど、それって両方とも苦行になるんですよね。そしたら、何のためにサウナ入って汗流したいの?なんのために水風呂入るの?ってどんどん「なんのため?」って意味がわかんなくなってくる。受ける側も扇ぐ側も、基本に立ち返ることですね。お互い煽り合うんじゃなくて、やっぱり自分のペースで気持ちよく終わるっていうことが一番ですかね。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
そうそう。じゃなくて、やっぱり汗流して気持ち良く水風呂入って外気浴して。本来それでいいわけじゃないですか。3セットが当たり前、みたいになってますけど、僕の場合何のためにっていったら美味しいビール飲むためだから、2セットでも全然いいんです。
大森さんが選ぶ!ベストサウナ
写真はイメージです
少し話は変わりますが、ズバリ大森さんの思うベストサウナ室・水風呂・外気浴を教えてください!
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
サウナ室で面白かったのは、
ウェルビー今池です。
1人用のサウナがあって、座禅とか正座とかして、瞑想するような感じなんです。ロウリュもできるんですけど、狭いからすぐ温まります。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
僕がいったときは別に並んでなかったし、入ってれば入ってますって札が出るような感じでした。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
水風呂は、静岡県の島田の方にある、
蓬莱の湯ってところですね。ここの水はすっごいよかった。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
それこそしきじと同じで、富士南アルプスの天然伏流水かな。水風呂の横に蛇口がついててそのまま飲めるようないい水で、ものすごい入りやすかったです。まさに水風呂に入りたいからサウナに入るっていう感じです。
写真はイメージです
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
ロケーションが良かったのは、また静岡ですが、
茶目湯殿の「展望フィンランド風サウナ」です。サウナは全面ガラス張りで、晴れてると富士山が目の前にでっかくドンってあるんです。外に水風呂もついてて、外気浴もできて、このロケーションはすごい良かったです。栃木の
思川温泉も、水風呂が外にある樽の水風呂で、目の前が川で。最高のロケーションでしたね。
写真はイメージです
ちなみに大森さんに是非聞きたいのが「サ飯のおすすめ」なんですが、これはいかがですか?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
もうね、いっぱいありますよ。これは絞れないなぁ~(笑)
例えば、カレーだったらレインボー新小岩。鶏白湯だったら、川口のゆの郷。もう風呂屋レベルじゃないんです。唐揚げなら、栃木のみつば湯楽院のがすげえうまいです。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
目的は美味しく飲むためですから。あと新橋の
アスティルに行ったら「
へそ0号店」っていう串焼きもうまいです。あー、これだけで1時間ぐらい欲しい。笑
今後の目標
最後に、大森さんの今後の目標について教えてください。
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
やっぱりブームになったからこそ、安心安全をうまく伝えていく立場になれたらいいなと。どういう形になるかわからないけど、それをしっかりとやっていかなきゃいけない立場かなとは思っています。
熱波師の第一人者として安全安心をうたっていきたい、と大森さん
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
サウナとは・・。酒をうまく飲むために入るもの(真っ直ぐな目)。主役は、お酒です。笑
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
おかしいですよね、サウナの主役はお酒だなんて(笑)。もう包み隠さずというか。いい汗かいた!では終われないですよね。(笑)
本日はありがとうございました!じゃあこのあとは・・?
HANDSUM+編集部たき
大森熱狼さん
気さくな大森さん。一度に2杯注文する姿がとても印象的であった。
まとめ
いかがだっただろうか。
プロ熱波師の大森さんは、「サウナはお酒を美味しく飲むための前座」という純粋な動機を持つ素直なお方という印象と同時に、
一過性のブームで終わらせたくないという思いは人一倍強く、「お金をもらって熱波を送る職人」としての矜持を感じることもできた。
この記事を読んで大森さんの熱波を浴びてみたいと思った方は、
大森さんの最新情報がわかるTwitter(@oomoriatsuro)、も是非チェックいただきたい。
その他、HANDSUM+では、サウナハットおすすめ10選もご紹介しているため、あわせてチェックいただきたい。
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